群馬銀行について

頭取メッセージ

取締役頭取 深井 彰彦

2022年度は、中期経営計画「Innovation for “Purpose”」がスタートしました。欧米の金利引き上げ等による影響もありましたが、決算および諸施策ともに総じて順調に進捗することができ、ご支援いただいた皆さまに感謝申しあげます。
さて、足元では新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したことや、賃金の引き上げを背景として消費の押し上げが期待されます。一方で、世界的な物価の上昇や欧米の金融政策に伴う景気への影響、ウクライナ問題をはじめとする地政学リスク等により、私たちを取り巻く環境は不確実な状況が続いています。また、デジタルを中心としたテクノロジーの進化は、つい最近まで常識であったことが瞬く間に非常識となるような、変化に富んだ時代をもたらしています。
地域に目を向けますと、企業の経営上の課題として、足下では原材料費の値上がりや人材確保が上位に位置付けられています。中長期的に見ると、人口減少への対応や環境分野への対応も避けて通ることができません。
こうした環境の不確実性とさまざまな地域課題に直面し、私たちは、地域社会やお客さまにとっての価値は何かを日々考え、役職員一人ひとりが自律的に行動していくことが欠かせません。変化のサイクルが早く、お客さまのニーズも多様化していることから、一人ひとりがしっかりとそのニーズを把握して対処していくことが重要であると考えています。ただし、自律的に行動することと、目的を持たずに各自がバラバラに行動することは同義ではありません。組織としてどんなゴールを目指すのか、その拠り所となるのが2021年11月に制定したパーパス「私たちは『つなぐ』力で 地域の未来をつむぎます」です。

パーパスを制定して以来、グループ内への浸透と役職員への「自分ごと化」を図ってきましたが、これを成し遂げるには2つのアプローチが重要だと考えています。1つは、トップがパーパスの意義を発信し続けることです。トップが自らの言葉で語ることが重要だと考えており、全役職員に対し、「行員向けIR」と呼ぶ動画番組で、定期的に経営状況や主要施策の意義を伝えています。もう一つは、行内のさまざまな仕組みや施策とパーパスを関連付け、日々の行動に落とし込むことです。例えば、中期経営計画では、社会課題の解決と当行の収益双方に資する計数を「つなぐKPI」として設定していますが、こうした計数の達成状況やパーパスへの取組みに顕著な事例を表彰制度にも関連付けるようにしています。パーパス制定から1年半が経過しましたが、私からの継続的な発信や、営業活動とパーパスの関連付けを通じて、役職員にとってパーパスは「額縁に飾ってある崇高なもの」から「日常の営業活動そのもの」に変化していると手応えを感じています。
2022年4月よりスタートした中期経営計画「Innovation for “Purpose”」は、パーパスの実現に向けて3つの基本方針を掲げ、当行の強みである「つなぐ」力を強化することや、「つなぐ」力を発揮することに取組んできました。1年が経過し、計画で掲げた主要施策は実施済みまたは着手済みです。また、先ほどお話しした「つなぐKPI」についても、ほぼ計画通りに進捗していると認識しています。

昨年の11月20日、当行は創立90周年を迎えることができました。皆さまのご支援に心から感謝いたします。先ほどパーパスを紹介いたしましたが、地域社会やお客さまに対して私たちが提供する価値を「つなぐ」という言葉に込めています。私たちが群馬大同銀行として誕生した昭和初期、提供できる「つなぐ」は、お客さまのお金とお金をつなぐこと、すなわち金融仲介機能が中心でした。時代は流れ、今や私たちは、お金に限らず、情報、ノウハウ、人材など多彩な「つなぐ」が提供できるようになりました。そして、これからも「つなぐ」の可能性は広がっていくでしょう。私たちは、どんな「つなぐ」ができるのか、行員一人ひとりが知恵を絞り、たくさんの「つなぐ」を積み重ねることで、豊かで持続的な地域の未来をつむいでいきたいと考えています。
最後になりますが、皆さまには、今後とも温かいご支援を賜りますよう、心からお願い申しあげます。

2023年7月
代表取締役 頭取
深井 彰彦