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気候変動への取組み

群馬銀行は、「群馬銀行グループSDGs宣言」の重点課題の一つである「地球環境の保全と創造」に向けた取組みとして、2020年7月にTCFD※提言への賛同を表明し、気候変動が当行の経営にもたらす影響などに関する情報開示を積極的に行っています。

群馬銀行は、「群馬銀行グループSDGs宣言」の重点課題の一つである「地球環境の保全と創造」に向けた取組みとして、2020年7月にTCFD※提言への賛同を表明し、気候変動が当行の経営にもたらす影響などに関する情報開示を積極的に行っています。
ガバナンス
ガバナンス体制
- 当行では、気候変動への対応を含むSDGsやESG等のサステナビリティに関する取組みを経営の重要事項として捉え、ガバナンス体制を構築しています。
- サステナビリティへの取組みをさらに強化し、中長期的な視点による経営戦略の構築と各施策の実効性を図るため、頭取を委員長としたサステナビリティ委員会を設置しています。
- サステナビリティ委員会は、原則として年4回開催し、サステナビリティに関する取組方針の策定や計画の進捗状況報告等を主な協議・検討事項としています。
- サステナビリティ委員会での協議・検討事項は、委員会開催の都度、頭取の諮問機関であり業務上の重要な事項に関し協議を行う常務会に付議/報告することとしております。
また、取締役会には原則として年4回報告を行うことで、取締役会が監督を行う態勢としております。なお、サステナビリティに関する重要事項については、取締役会に付議し、取締役会が意思決定を行っています。

【2022年度 主な委員会議題】
- TCFD提言に基づく取組み状況および開示
- サステナブルファイナンス目標達成に向けた取組み
- 取引先および地域のサステナビリティ向上に向けた取組み
- 温室効果ガス排出量削減に向けた取組み

【2022年度 主な委員会議題】
- TCFD提言に基づく取組み状況および開示
- サステナブルファイナンス目標達成に向けた取組み
- 取引先および地域のサステナビリティ向上に向けた取組み
- 温室効果ガス排出量削減に向けた取組み
業績連動型株式報酬
- 2019年6月に導入した社内取締役に対する業績連動型株式報酬(以下、パフォーマンス・シェア)の評価指標のうち、非財務指標について、「当行の温室効果ガス排出量の削減率」や「再生可能エネルギー事業向け融資の実行額」等、気候変動への対応を含むSDGs達成への貢献を測る指標を採用しています。
戦略
気候変動関連のリスク・機会の特定
- 気候変動に伴うリスク(物理的リスク・移行リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っています。
種類 概要(時間軸) 物理的リスク - 水害等に伴う不動産担保(建物)の毀損(短期~長期)
- お客さまの事業施設の被災に伴う事業停滞による信用リスクの増加(短期~長期)
- 当行事業施設の毀損等による事業コストの増加(短期~長期)
移行リスク - 気候変動に関する規制や税制等の強化が、お客さまの業績にネガティブな影響を及ぼすことによる信用リスクの増加(中期~長期)
- 低炭素・脱炭素製品への移行コストの増加や消費者の製品嗜好の変化等への対応の遅れなどお客さまの業績にネガティブな影響を及ぼすことによる信用リスクの増加(短期~長期)
- 当行が十分な情報開示を行っていないと判断された場合の当行のレピュテーションの低下(短期~長期)
機会 - 脱炭素社会への移行を支援する新たな金融商品やサービスの提供(短期~長期)
- 当行営業拠点の省資源・省エネルギー化による事業コストの低下(短期~長期)
- 気候変動に伴う災害対策のための公共事業や企業の設備資金需要等の増加(短期~長期)
シナリオ分析
- 物理的リスクおよび移行リスクについて、複数の温度帯シナリオを用いて、各シナリオ下における当行の与信費用の増加額を推計しました。以下のとおり、いずれの分析においても、当行財務への影響は限定的であるとの結果となりました。
物理的リスク
- 物理的リスクについては、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、国内で発生確率の高い水害による影響を分析しました。
- 分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提に、ハザードマップを利用して推計した「当行が保有する担保不動産の価値毀損額」および「浸水に起因するお客さまの事業停滞日数」から、2050年までの当行の与信費用の増加額を試算しました。
- 分析の結果、2050年までの与信費用の増加額は最大で53億円となりました。
シナリオ IPCC/RCP8.5(4℃シナリオ) - 想定される主な動き:
- 規制の導入が鈍く、地球温暖化がさらに進む
分析対象 国内に本店を置く融資先中小企業 分析内容 ハザードマップを利用して推計した当行担保不動産(建物・マンション)毀損額・お客さまの業績悪化による売上減少額から、与信費用への影響を推計 分析結果 2050年までの与信費用増加額:最大で53億円
移行リスク
- TCFD提言で気候関連の財務影響を受けやすいとされるセクターのうち、気候変動への影響度と当行のエクスポージャーという観点から、「自動車」および「エネルギー(電力、石油・ガス)」セクターを分析対象として選定しました。
- 2℃以下シナリオを基に、シナリオの予測データやセクターごとに設定したモデル企業の公開情報等を活用して、脱炭素社会への移行に伴うお客さまの財務悪化による与信費用の増加額を試算しました。
- 分析の結果、2050年までの与信費用の増加額は累計で71億円となりました。
シナリオ IEA/NZE2050(1.5℃シナリオ)、IPCC/RCP2.6(2℃シナリオ) - 想定される主な動き:
- 気温の上昇を抑制するために、必要な規制や技術革新が導入される
分析対象 「自動車」「エネルギー(電力、石油・ガス)」セクター 分析内容 - セクターに対して想定される事業インパクトを定性的に評価
- 定性分析に基づき、セクターごとにモデル企業を選定してシナリオの予測データや公開情報等を基に将来の業績変化を予想
- 上記分析結果を事業内容や取扱製品等を考慮しながらセクター全体に展開し、与信費用の増加額を試算
分析結果 2050年までの与信費用増加額:累計で71億円
炭素関連資産の状況
- 当行の与信残高に占める炭素関連資産の割合は、約23.8%となっております。
(「エネルギー」「運輸」「素材・建築物」「農業・食糧・林業製品」セクター向けエクスポージャー。2023年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く)
リスク管理
- 当行は気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが当行の事業運営や戦略・財務計画に大きな影響を与える重要なリスクと認識しています。シナリオ分析等により把握した各種リスクについて、「信用リスク」「オペレーショナル・リスク」などリスクカテゴリーごとに影響を把握し、既存の枠組みの中で管理する態勢を整備していきます。
- シナリオ分析の結果等を踏まえ、気候変動への対応や脱炭素社会への移行に向け、お客さまとの対話(エンゲージメント)を強化しています。お客さまごとの課題やニーズを深く理解しソリューションを提供することで、ビジネス機会の創出や管理の強化につなげていきます。
- また、2021年6月に「環境・社会に配慮した投融資方針」※を制定し、新設の石炭火力発電所を資金使途とする投融資は原則として行わないなど、気候変動リスクへの影響が大きいセクター向け与信の取組姿勢を明文化しています。
- 「環境・社会に配慮した投融資方針」についてはこちらをご参照ください。
指標と目標
サステナブルファイナンス
- 地域のサステナビリティ実現に向け、環境・社会課題等への取組みをさらに進めていくため、2022年度から2030年度までの中長期的なファイナンス目標を設定しています。 【2023年10月、目標を上方修正】
- サステナブルファイナンスに積極的に取組むことで、地域のESG課題の掘り起しや解決につなげてまいります。
サステナブルファイナンス累計実行額目標※ 2024年度 8,000億円
(うち環境分野 4,500億円)2030年度 3兆円
(うち環境分野 1兆5,000億円)- 2022年度以降の累計実行額。サステナブルファイナンスは、環境課題(再生可能エネルギーや省エネ設備等)や、社会問題(創業、事業承継、医療等)の解決に資するファイナンスを対象としています。
2022年度実行額 2,662億円 (うち環境分野 1,160億円) - また、地域の脱炭素化への取組みとして、再生可能エネルギー開発支援に向けた総額500億円の投融資枠(ファンド)「GBグリーンファンド」を2021年10月に設定しています。本ファンドを通じて、再生可能エネルギー開発を支援し、温室効果ガスの削減に貢献するとともに、分散電源の普及等によるエネルギーの地産地消や地域活性化にも取組んでまいります。
GBグリーンファンド累計実行額
2021年度※ 183億円 2022年度 278億円 合 計 461億円 - 2021年10月~2022年3月
温室効果ガス排出量

- 脱炭素社会の実現や社会の持続的発展に貢献していくため、当行における温室効果ガス排出量削減目標を設定しています。
- 2022年度の温室効果ガス排出量は、8,272t-CO2であり、2013年度比26.2%の削減となりました。
- 当行ではこれまで、当行本店ビルや電算センターの電力をすべて再生可能エネルギー由来の電力に切替え、電力使用に伴う温室効果ガス排出量実質ゼロの建物としております。
- 今後も、店舗へのPPAによる太陽光発電設備設置やネーミングライツを取得した「ぐんぎん尾瀬片品発電所」により、再生可能エネルギーの地産地消に取組んでいきます。
また、電気自動車の導入等、脱炭素に向けた取組みを一層強化してまいります。<主な取組み>
2022年 4月 本店ビルの電力をすべて再生可能エネルギー由来の電力に切替え 2022年 11月 全店(一部対象外店舗を除く)に電気自動車導入を決定。順次導入中 2023年 4月 電算センターの電力をすべて再生可能エネルギー由来の電力に切替え 2023年 10月 高崎田町支店のPPA電力供給開始予定 2024年 1月 北毛地区9店舗における全使用電力、および電算センターの一部の電力を「ぐんぎん尾瀬片品発電所」由来の再生可能エネルギーに切替え予定 - 温室効果ガス排出量の算出範囲は、当行国内拠点におけるスコープ1、スコープ2。
ファイナンスによる温室効果ガス削減への取組みについて
当行では、2019年11月にグリーンボンド、2021年10月にサステナビリティボンドを地方銀行で初めて発行しました。
グリーンボンド、サステナビリティボンド発行による資金調達額300億円のうち、200億円をグリーンプロジェクトに充当しております。これによる温室効果ガス削減量は60,537t-CO2/年となり、約33,000世帯の年間温室効果ガス排出量(電気)に相当します。また、同削減量は当行の2022年度の温室効果ガス排出量である8,272t-CO2を大きく上回ります。
グリーンプロジェクト充当による温室効果ガス
削減量
(単位:t-CO2/年)
再生可能エネルギー | エネルギー効率 | クリーンな輸送 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|
太陽光発電 | 水力発電 | バイオマス 発電 |
|||
6,197 | 21,922 | 32,193 | 157 | 65 | 60,537 |
(環境省「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査結果の概要(確報値)」をもとに算出)
- 当行では、温室効果ガス排出量の計測範囲の拡大に向けて取組んでおり、今年度、当行行員の出張・通勤に伴う排出量の試算を行いました。
今後も、計測範囲の拡大等の検討を進めてまいります。(単位:t-CO2)
計測項目 2021年度 2022年度 スコープ3 カテゴリ1の一部(コピー用紙購入) 263 249 カテゴリ6(出張) 43 58 カテゴリ7(通勤) 1,069 1,013 - 【計測方法】
-
カテゴリ1 : 排出量 = 購入した製品の金額 × 排出原単位 カテゴリ6、7 : 排出量 = 移動手段別の交通費支給額合計 × 排出原単位 計測にあたっては、環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」および、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver.3.3)」を使用。
スコープ3カテゴリ15について
- 金融機関にとって、スコープ3カテゴリ15(投融資先の温室効果ガス排出量)は、気候変動におけるリスクと機会を捉えていく重要なものと考えられることから、PCAF※スタンダードの計測手法に基づき、2023年3月末時点における国内の事業性融資先法人に対する投融資を対象に試算を行いました。
今後、計測の高度化に向けた検討を進めてまいります。- Partnership for Carbon Accounting Financials。投融資先の温室効果ガス排出量の計測・開示を標準化するための基準を開発する国際的なイニシアティブ。

【排出量の算定式】
投融資先の温室効果ガス排出量(ファイナンスド・エミッション)は、投融資先の資金調達総額に占める当行の投融資額の割合(アトリビューション・ファクター)に投融資先の温室効果ガス排出量※を掛合わせて計算しています。
- プライム上場企業で自社HP等において排出量を開示している場合は開示情報、それ以外の企業については推計値を使用

- iは各投融資先
【業種別炭素強度の算定式】
業種別炭素強度は、業種毎に下記の算定式で導出しています。
Σ(個社別の炭素強度 × 個社別の投融資額) / 個社別の投融資額総計